Back From The Temple

見仏記で仏像にハマりました。 みうらじゅんといとうせいこうが好きです。 ただいま朱印帳をめくりながら以前、訪れたお寺の記録を書いています(旧タイトル:ジンジャー大将)

2013年08月

【京都】福田寺:雨乞いの神、龍神開帳

見仏日:2013年8月23日

8月23日。年に一度、福田寺の龍神堂の扉が開く日です。

TV見仏記で福田寺の龍神像の奇怪な姿に魅せられ、是非生で拝観したいとおもっていました。

真夏の日差しが照りつける中、阪急「東向日駅」からiPhoneの案内に従ってテクテク歩きます。
珍しい仏像の開帳の日にも関わらず福田寺までの道中、のぼりも看板も見かけません。

とくに宣伝して拝観者を募るワケでもなく、地域に密着して檀家さんに支えられてるお寺なんですね。

拝観の受付も拝観料もなく、龍神のおわす龍神堂も開け放たれたままです。

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うわっ!お楽しみの『龍神様』が丸見えやん!もったいない・・。

視線をそらして本堂にいらっしゃった方に声をかけ、伏せ目がちにしながらそっと昇殿しました。


『はぁ〜この方が・・・龍神様』

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龍の姿をしているワケでもなく、頭上に龍を戴くワケでもなく・・膝をついて一心に祈るように合掌しています。本当に奇怪な姿です。

やはり夜叉神に似ている気がします。

【過去記事】→東寺と六波羅蜜寺の夜叉神たち


生で見ると握り合わさった両手の力の入り具合がモノ凄く、飛び出した両目は力が入り過ぎているせい?と、思えてきます。(後補だそうですが・・)


この方とにかく雨乞いのパワーが凄まじいので、どんなお姿であったとして『龍神』と呼ぶのがふさわしいとおもいます。


去年も同じ日に福田寺から離れた智恵光院で秘仏六臂地蔵を拝観している時に突然、夕立がり「あ〜龍神様が開帳になってるからか〜」と思ったもんですが、この日も夕方から見事に雨が降りました。

お堂の左に目を向けると・・これまた珍しい『摩耶夫人像』

今まさに!摩耶夫人の右脇から釈迦が誕生した瞬間の像です。

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↑福田寺の摩耶夫人像:右脇にお釈迦様がぶら下がっています。

思っていたよりもかなり小さい像でしたが、近くから拝観できるのでお釈迦様の姿もハッキリ見ることができました。

ちょうど本堂にご住職の姿が見えたので、御朱印をお願いすると本堂の仏像も拝観するようにすすめていただいたので、遠慮なく昇殿させていただきました。

朱印をいただいた後、龍神について質問すると、お忙しい中とても丁寧な説明をしていただきました。

ご住職のお話によると龍神は元は「にらんば」か「びらんば」(兜跋毘沙門天を支える地天女の両脇の人)のどちらかではないか。ということでした。

言われてみればそんな気がしてきました。

このように珍しい仏像が拝観できる『福田寺』是非、来年は足を運んでお賽銭を弾んでください。


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↑東京国立博物館蔵の摩耶夫人:右のたもとからお釈迦様が飛び出しています。




23日〜24日にかけて豪雨被害に遭われた地域の皆様には、謹んでお見舞い申し上げます。ふざけているワケではありません。念のため




【福田寺】
住所:京都市南区久世殿城町5番地
電話:075-931-2887
拝観可能な仏像:龍神像、摩耶夫人像(毎年:8/23の他、事前予約で拝観可)
拝観料:志納


●御朱印
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【京都・六道参り】西福寺:壇林皇后九相図絵


その死骸を丸裸体にして肢体を整え香華を撒じ神符を焼き、屍鬼を祓い去った呉青秀は、やがて紙を展べ、丹青を按配しつつ、畢生の心血を注いで極彩色の写生を始めた

こうして十日目毎にかわって行く夫人の姿を、白骨になるまで約二十枚ほどこの絵巻物に写し止め・・・


↑「読むと発狂する」とまで言われる「日本三大奇書」の一つ、夢野久作の「ドグラ・マグラ」の一節です。



●西林寺蔵『壇林皇后九相図絵』

第一新死想
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第二肪脹想
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第三血塗想
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第四蓬乳想
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第五噉食想
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第六青瘀想
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第七白骨連想
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第八骨散想
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第九古墳想
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『九相図』は人が死んで肉体が朽ちていく様子を9つの場面に別けて描き、現世の肉体の不浄、無情を説いた仏教絵画です。

画題としてポピュラーなようで、大阪歴史博物館で開催されていた『幽霊・妖怪画大全集』展でも九相図が2点展示されていました。

この『壇林皇后九相図絵』の他にも有名なモノでは小野小町をモチーフにした九相図があります。

九相図に女性を描くのは修行の妨げとなる煩悩の対象を不浄なモノとして説き、美人や高貴な人物が朽ち果てる様子は無情を説くのに説得力があるからだとおもいます。


※小野小町といえば絶世の美女として名高いですが「六道参り」の最優秀助演男優「小野篁」の孫という説もあります。

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↑【参考-1】京都・安楽寺蔵「小野小町九相図」


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↑【参考-2】滋賀県・紫雲山聖衆来迎寺蔵『人道不浄相図』鎌倉時代


平安時代、六道参りが行われるこの周辺から清水寺にかけての一帯は『鳥辺野(とりべの)』という鳥葬地(屍を放置して鳥に食べさせる)でした。
九相図に描かれているような光景が実際に目の前で繰り広げられていたんでしょうね。



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↑西福寺蔵・壇林皇后像



と、いうワケで今年も「六道参り」に参戦して来ました。
もちろんメインステージの『六道珍皇寺』や『六波羅蜜寺』もジックリ回り、主役の『閻魔さん』『小野篁』もシッカリ拝観してきましたが、メインステージの記事はこれまでに書いているので、今回はサブステージ?『西福寺』が所蔵する『壇林皇后九相図絵』について書きました。

『西福寺』は弘法大師開基で嵯峨天皇皇后と縁の深い由緒と歴史のあるお寺です。

有名な『子育て幽霊飴』の向かい、六道の辻にあるにも関わらず、空也上人や平清盛の『六波羅蜜寺』のお隣ということで、若干、部が悪いのか参拝者は少なく、お堂に昇殿している人もあまり居なかったので、上に画像で紹介した『壇林皇后九相図絵』の他、『六道十界図』、『十王図絵』など豊富な寺宝ゆっくり見ることができました。


拝観料も無料なので「六道参り」にお越しの際は、是非お賽銭を弾んでお立ち寄りください。



※記事冒頭の夢野久作の『ドグラ・マグラ』は著作権がフリーになっているので、ネット図書館『青空文庫』で無料で読むことができます。
その他ポッドキャストでも朗読版が無料で配信されています。


以下、当ブログの六道・地獄に関する記事へのリンクです。


人は死んだらどうなる?長岳寺

京都地蔵盆:智恵光院・六臂地蔵

京都地蔵盆引接寺・小野篁作閻魔王像

全興寺:地獄は地域コミュニティ

子育て幽霊飴(六道まいり)

六道珍皇寺の小野箼と閻魔像

説話/伝説 小野篁(おののたかむら)

六観音が一堂に会する千本釈迦堂

【小満】第二十三候:紅花栄(べにはなさく)

【奈良】奈良国立博物館:みほとけのかたち展

見仏日:2013年8月2日

「みほとけのかたち」展:2013年7月20日〜9月16日まで。

「五劫院」、「般若寺」と回り、中心部に戻ってきました。
行きがけにポスターで国立博物館で「みほとけのかたち」という特別展が開催されていることを知ったので立寄ました。

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関西のお寺の仏像と奈良国立博物館収蔵品が中心の展示内容だったので、以前にも見仏したことがある仏像が多かったのですが、この裸形の阿弥陀立像には驚きました。

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↑奈良国立博物館収蔵:裸形阿弥陀


裸形の阿弥陀といえば、れんじょう寺の白色阿弥陀が有名です。僕も5月の開帳の際に訪れ、その神秘的な姿に見惚れてしまいました。

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↑れんじょう寺:白色阿弥陀


れんじょう寺の裸形阿弥陀立像は袴を着けておられましたが、(ま・・れんじょう寺の白色阿弥陀は女性ということなので当然ですね)この奈良国立博物館で展示中の裸形の阿弥陀様はなんとマッパでした。

失礼ながら・・凝視してしまいました。

ほかには乾漆の「力士像」が良かったです。
乾漆造りの像は近くの興福寺に八部衆がありますが、この「力士像」は小降りながら筋肉や筋など八部衆にはない細かな表現が目を惹きました。

あとはお馴染みな仏像が多かったのですが、浄瑠璃寺の「馬頭観音」は何度見ても見飽きないので、じっくり後ろから横から正面からジロジロと見仏させていただきました。

博物館での展示ならではの見仏方法ですね。

特別展を後にして常設展「なら仏像館」へ。
ここは良く来るので見仏の仕方が雑になっていまいます・・・

が!!!金剛寺の巨大「降三世明王坐像」がまだおわしました。
すっかりヌシの貫禄!!!

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降三世明王と視線が合う位置のベンチに座りしばらく対峙させていただきました。

早く、金剛寺で三尊揃った形で見仏したいもんです。

薬師寺寄託の僧形八幡太神像や大将軍像を見て今回の見仏終了です。


【奈良】般若寺:可愛い文殊菩薩

見仏日:2013年8月2日

五劫院での見仏の後、徒歩移動可能な距離にある般若寺に寄りました。

TV見仏記でも紹介されたお寺ですし、本尊の文殊菩薩はとても有名な方なのでご尊顔は存じ上げておりますが、まだお目にかかったことはありませんでした。

「五劫院」から道標を辿って住宅街を歩くと突然、立派な楼門(国宝)があらわれます。

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何造りというのか知りませんが、素人目に見てもとても立派!
さすが国宝の貫禄です。
楼門から中を覗くと草が生い茂っています。
「般若寺」はコスモスで有名で「関西花の寺」札所でもあります。
きっと秋にはピンクに彩られるんでしょうね。

拝観料を収め、しばらくノンビリと花の寺の境内を散策しました。

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本堂に上がり文殊菩薩と対面しました。

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獅子に乗る八字文殊で利発は少年のようなご尊顔。


可憐なコスモスに無垢な少年を想わせる文殊菩薩。このお寺は女性に人気があるんだろうな〜とおもいました。

僕も知恵を授けてもらえるようしっかりとお参りし、般若寺を後にしました。


【般若寺】
住所:奈良市般若寺町221
電話:0742-22-6287
仏像:文殊菩薩
その他:楼門(国宝)

●お土産
お守りなど

●御朱印
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【奈良】五劫院:五劫思惟阿弥陀坐像

見仏日:2013年8月2日

アフロヘアーの仏像として親しまれている「五劫思惟阿弥陀」

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このユニークな仏像を本尊とする「五劫院」は東大寺・大仏殿の北「正倉院」の更に北にあります。

東大寺、興福寺を中心とするこの辺りは名仏目白押しな仏ゾーンなので、見なければならない仏像があまりにも多すぎて、これまで「五劫院」に足を運んだことはありませんでした。

しかし今回は『五劫思惟阿弥陀坐像』開帳が目当てなので、他の仏像には目もくれず「五劫院」へまっしぐら。と、思いましたが、まずは「猿沢池」横の蕎麦屋で腹ごしらえです。

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冷やしソバ定食を平らげて出発!
仏像界のスーパースター「阿修羅」がおわす「興福寺」の境内をショートカット。
仏師界の二大巨頭、運慶・快慶作の仁王に睨まれながら東大寺・南大門を足早にくぐり抜け、観光客で賑わう大仏殿を素通りして正倉院のほうへと突き進みました。


この辺りまで来ると東大寺の喧騒はどこへやら。

シカ達もせんべいをネダりにまとわり着いて来ることもなく、ノンビリと芝生を食んでいます。

ひっそりと静まり返った境内は時間の流れまで遅くなったような感覚です。

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住宅街を通り「五劫院」の門前に来ました。

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有名な仏像があるお寺なので、もっと賑やかな大きいお寺とおもっていましたが、ひなびた雰囲気でとても気分が落ち着き、さらに時間が緩やかに流れる感じがします。


「五劫思惟阿弥陀」の『劫』とは時間の単位です。
『劫』の概念は諸説ありますが、「五劫院」のパンフレットから引用すると・・・

『四十里立方の大盤石に天女が三年に一度舞い降り、羽衣で一摩でし、盤石が無くなるまで』と解説されています。

つまり

『約160立方キロメートルの巨大な岩があって、3年に1回だけ天女が布で一撫でします。その摩擦で巨大な岩がすり減って無くなるまで』が、一劫。
「五劫」はそれの5倍・・なので、もう永遠ってことですね。

「五劫思惟阿弥陀」のユニークなアフロヘアーのお姿は、阿弥陀が『気が遠くなるほど永い』なんて言葉も出ないほどの長い長い思惟の時間を螺髪で表現しているわけです。

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と、やたら長い前置きでしたが・・

「五劫院」の「五劫思惟阿弥陀坐像」は毎年8月1日〜12日の間、一般公開されていますが、その他の期間でも予約をすれば拝観できるようです。

拝観料は志納ということなので、どうかお賽銭を弾んでください。

僕も受付で朱印帳を預け、本堂に入り下陣から「五劫思惟阿弥陀坐像」と対峙しました。
想像していたより小さく感じました。

やはりアフロがあまりにもインパクト大で目を奪われてしまうのですが、他にも通肩(両肩とも袖を通している)だったり、手が衣の中に隠れ定印が見えていないのも、一般的な阿弥陀如来像とは違う、「五劫院」の「五劫思惟阿弥陀坐像」像の特徴です。

とても偉い偉い如来さまではありますが、ユニークな髪型とふくよかなご尊顔は親しみを感じてしまいますね。

とてもカワウイです。



「五劫院」のパンフレットによると、この「五劫思惟阿弥陀」のデザインは下半身が金色に輝くことで有名な浄土教の高祖「善導大師」によるものだそうです。


「五劫思惟阿弥陀」は永い永い時を思惟されているのにもかかわらず、お多福のようにふくよかなお姿が一般的ですが、中にはこの永い時を衰弱で表現している「五劫思惟阿弥陀」もあります。

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参考:尾田武雄先生著『とやまの石仏たち』より、富山市水橋の広浜家の仏壇に安置さる阿弥陀如来像。



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参考:碧南市応仁寺所蔵


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2016年6月6日(---破線内)追記
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日本石仏協会理事、富山県文化財保護指導委員、富山県公文書館古文書調査員などの要職を勤められる尾田武雄先生による富山の石仏に関する集大成であり、入門から意外な真実まで網羅されています。

尾田先生と電話でお話させていただく機会に恵まれ、富山は「五劫思惟阿弥陀」が篤く信仰されている土地だということや、現在、学会で議論されている「五劫思惟阿弥陀」に関する話題など非常に意義深いお話を伺うことができました。

さらに当ブログ内での『とやまの石仏たち(尾田武雄著)』からの引用と参考図版の転載に関しても快諾していただきました。

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【五劫院】
住所:奈良市北御門町24
電話:0742-22-7694
拝観可能な仏像:五劫思惟阿弥陀坐像(毎年:8/1〜8/12)
拝観料:志納

●おみやげ
絵はがき:1枚100円

●御朱印

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