摩多羅神と摩多利(摩怛哩)神は本来別尊で、習合したわけではなく名前が似ているためか(?)混同されてしまったようです。ネットで調べる限りではWikiペディアでも事典などでもほぼすべてで同体と解説されています。


摩多羅神はどこにも起源らしきものが見当たらない不思議でマジカルな神様です。
あの笑みを浮かべた翁の像容もメチャ怖い。

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↑摩多羅神と丁禮多(ていれいた)・爾子多(にした)のニ童子


一方、摩多利(摩怛哩)神は孔雀経に夜叉神として「摩怛哩夜叉住於施欲国」とあり、また摩多利は梵語で「母」の意味で「理趣経」にある「七母天」のことです。

七母天
ブラフマニー(ブラフマン=梵天の女性名で妻とされる)
ルドラニー(ルドラ=シヴァの妻)
カウマリー(クマーラー=韋駄天の妻)
バイシュナヴィー(ヴィシュの妻)
ヴァラーヒー(ヴァラーハ(野猪=ヴィシュヌの化身)の妻)
インドラーニー(インドラ=帝釈天)の妻)
チャームンダー(ヤマ=閻魔の妻)
です。

摩多利=七母天のうちチャームンダー(叉文茶天/しゃもんだてん)なので摩多羅神は女神という説も学研の仏尊事典に掲載されています。
珍説にも思えるけど「摩多羅=摩多利」とした場合こうなりますね。

大黒天(とくに三面大黒など憤怒)との同体説は「七母天=摩多利」が大黒天の眷属であるため同体視されたようです。
※佛説摩訶迦羅大黒天神経訓読

疫病神(転じて除疫)としての性格があり、赤痢流行時に各地で摩多利の石塔が建立されたようで「七母天=摩多利」は結構あるようです。


摩多羅神はほとんど見かけません。

でも・・・島根にいます。

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↑島根県安来清水寺の摩多羅神

2008年に清水寺の収蔵庫に所蔵されていることを確認。2009年2月の長谷洋一教授(関西大学、仏教美術史)による精査により、鎌倉時代の摩多羅神と判明。


そうだ!!島根行こう

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↑躍動感溢れる摩多羅神