見仏日:2014年5月18日

今年もワクワクしながら二天が守護する仁王門をくぐり

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石段を駆け上がりたい気持ちを抑え(そんな体力もないけど)

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伝説と異形の仏像の宝庫!『神呪寺』本堂に到着しました。

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後方に神坐のごとく控えるのが「甲山」

仲哀天皇の御代、神功皇后が国家平安守護のために、山に如意宝珠・金甲冑・弓箭・宝剣・衣服等を埋めたと伝えられ、このことから甲山と名付けられたそうです。

なのでここ『神呪寺』は通称『甲山大師』『お大師さん』と呼ばれ親しまれています。


さっそく御本尊と久しぶりのご対面を果たしたいところなのですが、はやる気持ちを抑えて、まずは『入り鐘突き』
語呂の験担ぎですが、「お寺に入った時に突く鐘が『入り金』と言い、お寺から出る時に突く鐘を『出金』と言います」勿論『入り金』が縁起が良いと言われています。


そして朱印をもらって、招待ハガキを受付に渡していよいよ昇殿。

まずは「甲山大師」さんへのお参りし、鎮守である「八臂弁財天」に手を合わせ、いよいよ内々陣へ。
(※広田神社祭神・瀬織津姫の本地仏としての弁財天だとおもいます)

出たっ!秘仏中の秘仏、金ピカに輝く「大聖歓喜天」固く抱き合いお二方とも仲良さげに正面を向く立像です。

いつもは扉が開いてる五大明王や愛染明王、聖観音などの厨子の扉が閉ざされたままになってます。


『麁乱(そらん)荒神』しっかりと間近で拝観できます。
愛染明王や金剛薩埵のような「三鈷杵」と「三鈷鈴」を持ち、大日如来の「智拳印」を結んでいて、更に「如意宝珠」「蓮華」「」「転法輪」を持つ超異形なお姿。


西宮に伝わる民話にも『鷲の地主神とソランジン』として登場する荒ぶる神さまです。


どんな話かというと・・・・・

平安時代のある日、淳和天皇のお妃(*1)は夢枕に立った女神から甲山お寺を建てるようにお告げを受けました。

お妃は密かに宮中を抜け出し西宮まで来ると、広田神社の女神(*2)の導きによって、お寺を建立するのに相応しい場所を示されました。

お妃はとても喜び、空海の協力を得てその場所にお寺を建てました(*3)
そしてお妃自身も剃髪し「如意尼(にょいに)」と名乗り毎日修行に励みました。

ところが「西の山(*4)」のほうから大きな鷲が火の玉を吹きながら現れ寺を燃やそうと襲ってきました。
如意尼は『閼伽水(仏にお供えするための井戸水)』を運ばせ、鷲が吐く火に注ぎかけました。するとたちまち火は消え、大鷲は敵わないと見て西の山へと帰っていきました。

この大鷲は、西の山に古くから住んでいるソランジンという神が姿を変えたもので、仏法が広がり古くからの神である自身がないがしろにされるのを面白くないと思っていたのです。

如意尼はソラジンを荒神として祀り、怒りを鎮めなだめました。
それからというもの、もう大鷲がお寺を襲うことはなくなり、守護神となりました。とさ・・・・・


〜以上「西宮ふるさと民話」と「兵庫県立歴史博物館/ひょうご伝説紀行」より抜粋、再編集して少し盛ってみました。

注釈
*1淳和天皇のお妃=如意尼とは、淳和天皇第四妃「真名井御前」のこと。
*2廣田神社祭神、撞賢木厳魂天疎向津姫またの名瀬織津姫。
*3神呪寺の秘仏本尊如意輪観音は「如意尼」をモデルに空海が彫ったもの。
*4「西の山」『牛女の都市伝説』で有名になってしまった「鷲林寺」のことで神呪寺とは対のような存在。同じくソラン荒神を祀っています。

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↑ソラン荒神はこのように荒ぶったお姿です。


そして如意尼の姿を写した空海作の如意輪観音とご対面(キチンとした輪王坐じゃないのが不思議ですね)

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今年の例大祭ではいつも開扉されてる珍しい仏像の多くの厨子が閉ざされたままで少し残念でした。
狐頭人身の稲荷明神の厨子も閉まってました。