七十二候は草露白(9月8日〜12日頃)草木に降りた露が白く光って見える季節で残暑もやわらいでくる頃。
二十四節気は白露もほとんど同じニュアンスみたいなので、露が付くということは季節が秋にぐっと近づいた目印なんですね。

そして今夜は『中秋の名月』十五夜です。

尼崎の夜空にもクッキリと満月が浮かんでいました。
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尼崎の民話に『名月姫』という話があります。
平安時代、現在の尼崎市尾浜に刑部左衛尉国春という豪族に玉のような女の子が生まれました。
中秋の名月の日に生まれたので「名月姫」と名付けました。
姫が14歳になった時、能勢の豪族・能勢家包が姫をさらい自分の妻にしてしまいました。
父の国春は悲しみにくれ出家し、諸国行脚の旅にでました。

折しも、平清盛が兵庫の大輪田の泊の改修工事していましたが、難工事となったため「工事を成功させるためには、人柱を立てなければならない」と旅人を捕らえていました。

名月姫の父・国春も捕らえられ、人柱にされようとしていました。

そんなある日の夜、名月姫夫妻の夢枕に老翁(大日如来の化身)が立ち「あなたの父が清盛に捕らえられ命が危ない」と告げました。

家包、名月姫夫妻は直ちに清盛の元へ行き、父・国春の命の嘆願をしました。

その様子を見ていた清盛の健児(側仕え)松王丸が捕らえられた三十人の人柱の身代わりを買って出たおかげで、国春も解放され、名月姫と共に大日堂を建てて祀りました。
名月姫は夫・家包の死後に尾浜に一堂を建立し、夫の菩提を弔いながら一生を終えたと伝えられています。(尼崎、郷土史研究会/みちしるべ34巻)より抜粋。


尼崎で”間違いのない”お持たせ銘菓として有名な『彩花苑』という和菓子屋さんがあります。
※かりんと饅頭や焼きプリンも絶品です。

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この彩花苑にその名もズバリの『名月姫』という和菓子があります。満月のようにまん丸なひよこ饅頭の餡にマロングラッセが混ざった感じで、これがまー美味しいです。

尼崎で中秋の名月を愛でる時、いにしえの親孝行で良妻の美女の姫に想いを馳せながら「名月姫」をむさぼるというのが尼ならではの作法な気がします。

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そして『彩花苑』の本店は名月姫が生まれ育ち、波瀾万丈の人生が穏やかになった晩年から生涯の幕を閉じるまで暮らしたとされる『尼崎・尾浜』にあります。

彩花苑には「近松物語」というお茶受けにピッタリな羊羹があったり、名品和菓子とともに、この郷土愛に溢れる商品ラインナップも僕のお気に入りの理由です。